
第1章 猫のヌックとの出会い
“あした捨てます”、と書かれた貼り紙付きで束ねられた古書の上に、
丸くなって寝ていると思った子猫が、私に向かって話しかけてきた。
路上猫に似合わず綺麗な蝶ネクタイをした子猫が気になったのか、
アンティーク好きとして古書のタイトルが気になったのか、
あした捨てます、が、私のことのようにも思えて、
いつもと違う、何かが気になって立ち止まった。
少し酔いが回ったのかな・・猫が話しかけるなんてね。
呆然と猫を眺めていると、
猫は、時間を待っていたかのように、すくっと二本足で立つと、重そうに束ねられた古書を一冊、片手に持ち、路地裏へ歩きはじめて行った。
人間でいうと、小学2、3年生くらいの背丈の男の子の姿だけど、顔は猫。
あれこれと考え始めると、常識に囚われてマイナス思考になる私は、考えることをやめて、子猫の後をついて歩きはじめた。
・・・人間より、猫が好き。猫は、いつも私を助けてくれる。
好き、という気持ち、一つ持って、ついていこう。

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